中性脂肪値の上昇は暴飲暴食の中高年に起こるもの、と思い込んでいる方は多いようです。
実際はアルコールをあまり飲まない人でも、中性脂肪値の上昇に悩んでいる人はいます。
アルコールが中性脂肪・脂肪肝を引き起こす理由
脂肪肝は太っている人だけがなる病気とは限りません。見た目は意外と痩せている人でも、中性脂肪値が高めだったり、脂肪肝気味もしくは脂肪肝と診断された人も結構しますね。
体重をみると平均体重なのに、中性脂肪がやや高めという人も多いです。健康診断などでは「メタボ」とまではいかないけれど、「隠れ肥満」であることは間違いありません。
健康診断を受けている人の32%が脂肪肝という調査結果があり、BMI(ボディー・マス・インデックス)が25~28の軽い肥満の人の半分以上の約58%が脂肪肝になっているという怖いデータもあります。
アルコールを大量にとると脂肪肝を引き起こすというのは聞いたことがある人は多いですね。脂肪肝とは、肝臓内の脂肪が異常に蓄積されてしまっている状態です。肝臓内に蓄積されている脂肪は中性脂肪なので、脂肪肝の人は必然的に中性脂肪値が高い状態です。
アルコールを摂ると肝臓で分解されて「アセトアルデヒド」という物質になります。アルコールが大量になると「アセトアルデヒド」も異常量になり脂肪の分解を抑制するようになります。
そして、血液中に分解されない脂肪が残り肝臓内に脂肪が溜まり、脂肪肝状態・中性脂肪値の高い状態になります。
大量のアルコールでなければいいのではないかと、安易に考える人もいるかも知れませんね。毎日大量を飲むのはもちろんですが、毎日必ずアルコールを摂り続けるというのもよくありません。
それは肝臓が休む暇がないということです。肝臓の仕事はアルコールの分解だけではありません。他にもやらなければいけない仕事があるのに、毎日の大量のアルコールが入ってくることでオーバーワークになってしまいます。
弱った肝臓は、健康な時よりもより脂肪肝になりやすくなります。肝臓は「沈黙の臓器」と言われていて症状が現れた時は、すでに手遅れということもあるので、肝臓にあまり負担をかけないようにしたいですね。
アルコールを飲まなくても中性脂肪が高くなってしまう原因とは?
アルコールによる「アセトアルデヒド」が異常量ではない、つまりアルコールは少しだけ飲むとか全然飲まないのに、中性脂肪値が高いという人がいます。
中性脂肪値の上昇は、アルコール摂取だけではなく、食生活にも原因があります。
- 炭水化物中心の食生活
- 動物性脂肪の摂り過ぎ
- 糖類の摂り過ぎ
- 清涼飲料水の飲みすぎ
おかずは少しなのにお米をたくさん食べるという、炭水化物中心の高エネルギー食の生活をしている人は、中性脂肪が溜まりやすいです。
炭水化物に含まれる糖質はエネルギーとして使われますが、消費されずに余ると中性脂肪に変化して、体に蓄えられてしまいます。たくさんの炭水化物と一緒に脂肪分の多いおかずを摂ると、さらに中性脂肪を増加させてしまいます。
お酒は飲まないけれど、大盛りご飯に肉類や乳製品などの動物性脂肪が多いおかずを食べて、飲み物はお茶ではなく清涼飲料水という人は、確実に中性脂肪を増やしています。
肝臓は食物で摂った脂肪分をエネルギーに替えたり、 糖分から脂肪を合成したりする働きがあります。肥満になる原因の「食べすぎと運動不足」の状態が続くと、肝臓には処理できずに残った脂肪分が蓄積してしまい、中性脂肪値が高くなってしまいます。
中性脂肪値が高くなるのは、アルコールだけのせいではありません。お酒を飲まないのにどうして中性脂肪値が高いのだろうと疑問に思っている人は、自分の食生活を見直してみると納得できるかもしれませんね。
アルコール摂取をしない人のための、中性脂肪を下げる対策とは?
アルコールを飲まないのに中性脂肪値が高いなら、脂肪分・糖分などを摂りすぎている可能性があります。中性脂肪値が高くなる原因はアルコールだけでなく、白米などに含まれる炭水化物の糖分や肉類などに含まれる動物性脂肪分も大きく関係しています。
例えば焼肉を食べる時に、ビールを大量に飲みながら脂身の多い肉をたくさん食べる人と、アルコールは一切摂らないけれど、白米をたくさん食べながら脂身の多い肉をたくさん食べる人とでは、状況は同じということですね。
アルコールは夕方以降から飲むという人が多いですが、糖分はいつでも摂ることができます。小腹が空いたからと、スナック菓子や菓子パンなどの間食をしたりする習慣がある人は、より多くの糖分をとっていることになります。
間食をするならナッツやドライフルーツにするといいですよ。特に「不飽和脂肪酸」が含まれているナッツは中性脂肪値を下げるために役立ちます。
- ナッツ
- オリーブオイル
- ココナッツオイル
- 青魚
ご飯のおかずを動物性脂肪の多いものからお魚に切り替えるだけでも、中性脂肪値を減らす健康的な食生活を始めることができます。お魚も青魚(さば、あじ、ぶり、マグロなど)を意識して摂るようすれば、もっと効果的ですね。
自分はアルコールはあまり飲まないから!と安心していると、いつの間にか内臓に脂肪が溜まった隠れ肥満になってしまう可能性があります。
いつまでも美味しく食べたり飲んだりするためにも、中性脂肪値を1年に1回はチェックして、正常値でも正しい食生活を心がける事で、数年先の生活習慣病のリスクを最小限にすることができますね。